入院のススメ
現在、時代はますます高学歴志向になり、大学院への進学率もここ10年でかなり増加しています。
とはいっても、まだまだアメリカよりも少ないです。
アメリカでは、大学院で修士号や博士号を取得することがキャリア・アップの常套手段で、
学部時代に専攻していた分野と全く異なる分野の大学院に進学する人も珍しくありません。
大学院といえば、昔は研究者や大学教員を養成する特別な機関でしたが、
現在では、学部のレベル低下が手伝ってか、大学だけでは専門的なことが学べないため、
大学院こそが本格的な専門教育を受ける場所として広く一般化しつつあります。
ただし、大学院に行けば就職が何でもかんでも有利になるというものではありません。
文系の場合、就きたい職種によっては不利になることも多々あるので注意して下さい。
修士課程(2年間)だけであればいいのですが、その上さらに博士課程(3年間)まで進学することを
「入院」と言って揶揄することもあるくらいです。
退院後、社会復帰が困難だからです。
博士課程まで行くと、一般企業に就職するには、年齢と学歴がかえって高過ぎるのです。
しかし自分が本当にやりたいことが決まって、その夢を実現するために大学院という学歴が
非常に大きな意味を持つ場合も多く存在します。
とりわけ国際機関に就職を希望している人は、修士号を取得していると有利になります。
しかも海外で修士号をとれれば、大きなキャリア形成となります。
教職にとっても修士号は有利になります。
教員採用の現状は
教員志望者の増大 → 競争の激化 → 大学院卒が有利 という構図です。
非常勤として採用されたのであれば、進学しないで教育経験を蓄積するのもいいでしょう。(注)
しかし単なる就職浪人は不利になります。
日本という社会では、履歴書に空白期間があると嫌われます。
単なる就職浪人をするのであれば、大学院へ行く方が100倍マシです。
これは日本語教師にも言えます。
志望者数は急増していますし、日本語教育能力検定の合格者も毎年1000人以上いるのが現状です。
他者と差別化を図るためには「高学歴」、「教育経験」、「海外在住経験」、「自分ができる外国語」の4点しかないでしょう。
しかし「教育経験」なんて大学生が持っているはずもありません。
ということは、日本語教育専攻や日本語学専攻の大学院へ行って高学歴を手に入れ、
留学するなりして英語以外に何か別の外国語(中国語や韓国語が有利)が出来ることをアピールするしかありません。
外国語の能力が不足しているとしても、大学院に通う2年の間にもっと勉強して、
文科省などが認可している検定試験などを受験しておくことも可能になります。
贅沢を言えば、自分がマスターしたい外国語を母語とする国の大学院に留学するのが理想ですが、
そしたら国内で就職活動しにくくなりますしねぇ......。
留学はなるべく学部生のうちに行っておきましょう!
不思議なことに、留学経験者の多くは「(お金さえあれば)また留学したい!」という人が多いです。
それだけ充実しているということでしょう。
日本にいて、友達とダラダラ遊んでいるのも楽しいかもしれませんが、それだけでは将来の役に立ちません。
海外で、自分を高めるために努力している時間の方が有意義だということでしょう。
大学院は、何も特別な目的の無い人にとっては単なるモラトリアムで逆効果になることが多いですが、
きちんとした目標とビジョンがあり、その目標に向けて努力する準備のある人にとっては得るものが多い所です。