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T はじめに
日本地理学会「水環境の地理学」研究グループの主要テーマの一つ「GISを用いた水環境研究」の分野においては、発足以来「水環境データベース」に関する議論が活発に進められてきた。特に2000年秋の大会においては、具体的な9つの地域についてのポスターセッション発表が行われ、他のポスター発表ともあわせて活発な議論が交わされた(小寺ほか,2000など)。
その結果、今後はデータベースの規格化作業が重要であり、他の学会などの「水文データベース」と比較した上で、研究グループ独自の規格を検討することが次のステップとして位置づけられた。
そこで、本研究では、九州地方の諸河川を取り上げて数流域の河川流域データベースを作成し、規格統一への材料を提供するとともに、他の水文データベースのプラットフォームとしての可能性を示す。
U 河川流域水環境データベースと他の水文データベース
日本地理学会での議論などを受け、昨年11月13日に水文・水資源学会の山地流域カタログ・データベース研究会の第1回集会が開催され、複数の学会・機関の水文データベースについて議論が交わされた(小寺,2000など)。多くの水文データベースを分散型データベースとしてまとめるにあたっては、本研究グループの「河川流域の水環境データベース」が最も適していると考えられ、他とのリンクを念頭においたフォーマット検討の必要性が確認された。
V プラットフォームとしての形式
最終的には、www形式での検索やデータの入出力に対応させる必要があるが、当面は、仮のプラットフォームの上で、独自に作成したデータベースとwwwを通じたリンクとを両立させなければならない。セキュリティの問題などがあるため、あくまでも仮のデータベースとして試験運用する期間が必要であるが、同時にフォーマットなどに関する議論を進めることができれば、効果的な改良が可能である。データベースのデータベースともいえるリンク集の作成が先決で、本研究では、その第一段階として九州地方を対象にしたサンプルデータベースの作成を試みた。
W 九州地方の河川流域水環境データベース
プラットホームとしては、重要な空間情報としての地図を有効に活用すべきだが、対象スケールに応じて利用しなければ、必要な情報を埋没させてしまう可能性がある。そこで、試験的に各主要流域に対して、50万分の1、20万分の1、5万分の1のスケールで水系網図を作成し、階層的なデータベースのプラットフォームとした。その上で、流量・雨量などの水環境データを各スケールごとにリンクさせ、公開されているデータなどに関してはwwwでのリンクで対応させた。
X おわりに
前回のポスターセッションでの議論をふまえて、九州地方を対象にサンプルデータベースを作成し、具体的なデータベースフォーマット作成への材料提供を試みた。その結果、他のデータベースのプラットフォームとなりうるフォーマットをある程度決定することができた。今後の研究においては、なるべく早く試験段階のデータベースを公開し、具体的な事例をもとに議論を活発化させることが必要である。
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