教育哲学    教育学入門    生涯学習入門 
教育学演習T 道徳教育の研究 生活指導論


教育哲学(アイデンティティ形成論)
 
<授業内容>
 現代の日本社会を生きる人間の「実存」にかかわる諸問題を、とりわけ人格形成や人間形成、人間発達上に訪れる「危機」的状況に焦点を当てながら、「アイデンティティ」という概念を軸に読み解いていく。その際には、そうした「危機」にある人間に対する支援・援助や治療・教育のあり方がどのように構想できるかという点についても留意したい。
 講義者の側の意図としては、これまでの教育学研究において発達論や思春期・青年期論の領域が提起してきた問題や理論枠組みを、哲学・社会学・精神医学などの知見も援用しながら、そして大人自身が抱える問題へも視野を広げながら、再検討・再解釈してみるという試みでもある。
 
<評価方法と基準>
 学期末に実施する試験またはレポートによって、成績評価を行う。必要に応じて、平常点を加味する場合もある。
 
<文献案内>
 参考文献として、以下をあげておく。その他、随時、講義時に紹介する。
西平直『エリクソンの人間学』東大出版会
西原直『魂のアイデンティティ』金子書房
岩波講座「現代社会学」2『自我・主体・アイデンティティ』
 
<授業計画>
 概ね、以下の柱を中心にして講義を進める。具体的な計画は、開講時に指示する。
  T.「アイデンティティ」問題への視座
   @「自分」とは何者か
   A自我、対象関係、社会的役割、身体
   Bライフ・サイクル
   C他者と世界
   D「わたし」ということ
  U.現代社会における「アイデンティティ」危機の諸相
   (以下のようなテーマ群の中からいくつかを取り上げる)
   少年非行・逸脱行動、不登校、成熟拒否、おたく、アダルトチルドレン、
   ジェンダー・トラック、結婚と家族、性同一性障害、熟年離婚、尊厳死



 
教育学入門
 
<授業内容>
 現在の日本社会が抱えるさまざまな教育問題について、受講者とともに考察していく。そのことを通じて、教育や教育学に関する基本的な概念や理論、発想法や研究方法論などを、受講者自身がわがものとできるように留意したい。
 
<評価方法と基準>
 学期末に実施する試験またはレポートによって、成績評価を行う。必要に応じて、平常点を加味する場合もある。
 
<文献案内>
 参考文献として、以下をあげておく。その他、随時、講義時に紹介する。
堀尾輝久『教育入門』岩波書店
藤田英典ほか『教育学入門』岩波書店
 
<授業計画>
 概ね、以下の柱を中心にして講義を進める。具体的な計画は、開講時に指示する。
  @不登校(登校拒否)は、「治療」の対象なのか?
  A少年非行や少年犯罪は、本当に凶悪化しているか?
  Bなぜ、学校生活はストレスだらけなのか?
  C日本は、本当に「学歴社会」か?
  D「進学率95%」の時代に、高校入試は必要なの?
  E学校で「心の教育」なんて出来るのか?
  F歴史の学習って、暗記なの?
  G通学する公立小学校を選べたら、どうなる?
  H校長の権限は、大きいほどよい?
  I「子どもの権利条約」は、日本の学校を変えたか?


 
 
生涯学習入門(1)
 
<授業内容>
 生涯学習とは何か。その意義や目的はどこにあるのか。日本において、それはどう展開されているのか。どこに問題や課題が生じているのか。それは従来の教育のあり方に何を提起しているのか。こういったテーマ群について、一方では原理的・理論的な考察にたち戻りながら、他方では具体的な事例やトピックに即して、概説していく。
 
<評価方法と基準>
 学期末に実施する試験またはレポートによって、成績評価を行う。必要に応じて、平常点を加味する場合もある。
 
<文献案内>
 参考文献として、以下をあげておく。その他、随時、講義時に紹介する。
 ジェルピ『生涯教育』東京創元社
 島田修一編『生涯学習の新たな地平』国土社
 熱海則夫ほか編『生涯学習と学校』ぎょうせい
 
<授業計画>
 概ね、以下の柱を中心にして講義を進める。具体的な計画は、開講時に指示する。
  T.人間存在にとっての学習
   @形成と教育
   Aライフサイクルと学習
   B学習権
   C社会参加と学習
   D生涯学習の思想
  U.生涯学習の観点から見た学校教育
   @学習の転換
   A垂直的統合と水平的統合
   B開かれた学校
  V.青年の自己実現と生涯学習
   @サブカルチャー
   A地域における学びと協同
   B職業選択と能力開発
   C自分さがしとしての学習
 

 
 
教育学演習T
 
<授業内容>
 テーマは、「子ども・青年論の現代的探究」。以下の二つの論点について、共同で追究・考察していく。
@ 現代の日本社会における子ども・青年の“自分さがし”と“自立への模索・葛藤”の姿を、サブカルチャー、消費社会、学校制度、アイデンティティ形成、世代、家族関係といった多様な角度から、あるいは子ども・青年が引き起こす少年事件・犯罪、高校中退や不登校などの教育問題、いじめや非行などの問題行動、青年文化やマス・メディアに映し出される子どもたち・青年たちの姿のうちに探ってみたい。
A @に見られるような今日のども・青年の“自分さがし”と“自立”に向かう模索。葛藤のプロセスを励まし、援助する大人の側の働きかけのありようを、家族、学校、地域社会の諸相から探究してみたい。
 上記のように、テーマ設定の間口は広いが、今年度、具体的に取り上げる問題や探究の視点については、受講者の問題関心などにも留意しながら、開講後に決めていきたい。
 
<評価方法と基準>
 原則として、平常点によって成績評価を行う。ただし、年度末に「ゼミ紀要」を発行するので、そこに1年間の研究・学習活動についての総括的なレポートを寄稿するのが、単位修得の条件となる。
 
<文献案内>
 随時、紹介するが、さしあたりの参考文献をあげておく。
竹内常一『子どもの自分くずし・その後』太郎次郎社
乾彰夫『自立に向かう旅』大月書店
河合隼雄『大人になることのむずかしさ』
村瀬孝雄『中学生の心とからだ(新版)』岩波書店
中西新太郎編『子どもたちのサブカルチャー大研究』労働旬報社
 
<授業計画>
 具体的なゼミの運営については、開講時に、受講者と相談したうえで決める。
 共通文献の読みあわせや、個人またはグループでのレポート発表に基づく討論が中心となるが、教育現場や児童福祉の関連施設、地域で子ども・青年の自立支援にあたっている現場などへの見学・訪問、フィールドワークなども試みてみたい。
 夏・冬にゼミ合宿を行う予定。




 
道徳教育の研究
 
<授業内容>
 公教育における道徳教育の基本的なあり方について考察する。歴史と現状、理論と実践、内容と方法などの多面的な角度から、道徳教育の問題を考えられるようにする。前半は、教育上の諸原理や制度的仕組みについての理解に当て、後半は、具体的な道徳教育の教材例や授業記録などの検討を行う予定である。
 
<評価方法と基準>
 学期末に実施する試験またはレポートによって、成績評価を行う。必要に応じて、平常点を加味する場合もある。
 
<文献案内>
 参考文献は、以下の通り。講義時に適宜、追加して提示する。
藤田昌士『道徳教育−その歴史・現状・課題』エイデル研究所
小寺正一『現代道徳教育論』大阪書籍
中野重人ほか編『未来をひらく道徳教育の研究』保育出版社
文部省編『中学校学習指導要領』
 
<授業計画>
 概ね、以下の柱を中心にして講義を進める。具体的な計画は、開講時に指示する。  @道徳とは何か
  A道徳は教えられるか
  B道徳性の発達
  C公教育における道徳教育の位置づけ
  D戦前日本における道徳教育
  E戦後日本における道徳教育
  F特設「道徳の時間」をめぐる問題
  G道徳教育の方法
  H道徳教育の実践上の困難と課題
  I諸外国における道徳教育
 


生活指導論
 
<授業内容>
 学校における生活指導の基本的なあり方について考察する。生活指導の概念、目標、内容と方法についての理解を深めたうえで、現在の学校教育が抱えている生活指導上の諸問題について、事例に基づく研究やトピック的な学習を行う。
 
<評価方法と基準>
 学期末に実施する試験またはレポートによって、成績評価を行う。必要に応じて、平常点を加味する場合もある。
 
<文献案内>
 参考文献は、以下の通り。講義時に適宜、追加して提示する。
竹内常一『子どもの自分くずしと自分つくり』東大出版会
全生研常任委員会編『新版・学級集団づくり入門・中学校編』明治図書
共同研究グループ『ゼミナール生活指導を変える』青木書店
 
<授業計画>
 概ね、以下の柱を中心にして講義を進める。具体的な計画は、開講時に指示する。
  T.概論
   @生活指導とは何か
   A学校における生活指導の役割
   B個人指導と集団指導
   C学級・学年・学校づくり
  U.事例研究
   D管理主義
   E高校中退
   F登校拒否・不登校
   Gいじめ
   H受験と進路指導
 
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