日本地理学会2001年度春季大会
榛名湖および周辺河川の水環境に関する予察的研究
A basic study on the water environment of Lake Haruna and surrounding rivers
小寺浩二*・山口香織・加藤弘亮 (法政大)
Koji KODERA , Kaori YAMAGUCHI , Hiroaki KATO(Hosei Univ.)
キーワード:水環境、榛名湖、湧水、地下水、水質
Keywords:Water environment , Lake Haruna , Spring , Groundwater , Water quality
T はじめに
日本は世界有数の火山国であり、火山地域特有の水文現象に関しては、様々な分野で古くから研究が行われてきた。一方、最近では、グローバルスケールの環境変化の問題と関係して、火山性湖沼のモニタリング(摩周湖ほか)が継続されるなど、新たな視点からの研究も進められている。そうした中で、独立した火山体全体の水循環や水収支を扱う総合的な研究もいくつか存在する(富士山・阿蘇山・八ヶ岳など)が、その事例は必ずしも多くはなく、比較水文学的視点などから、より多くの地域での同様の研究が求められている。
そこで、群馬県の榛名山に注目し、榛名湖の水質・結氷現象・周辺河川の水質・地下水環境・土地利用変化などを複合的に取り上げ、水文地理学的視点からまとめる総合研究をスタートした。本報告は、「榛名山の水環境に関する水文地理学的総合研究」へ向けての、予察的研究の結果である。
U 研究方法
1.既存資料を用いた研究
田中(1992)の湖沼一覧表をもとに全国の湖沼を成因別に分類した上で、榛名湖の特徴を抽出した。特に、結氷現象の有無によるグループ化を行って、標高・湖水面積などとの関係を検討した。次に、群馬県庁より入手した公共水域水質測定結果(1988〜1999年)から、COD、BOD、pH、DO、水温などの経年変化についてまとめ、榛名湖の結氷データ(1989〜1999年)と気温・降水量の関係などについても考察を加えた。
図1 榛名湖の結氷期間および湖面開放期間
さらに、周辺河川の水環境把握のために、25000分の1地形図を用いて土地利用図を作成し、地質図や水系網図と重ね合わせて、榛名山体から流れ出る主要河川の特徴を明確にした。
2.現地観測
a)榛名湖の湖心において、基本水質観測を1999年9月〜2000年12月の間に計9回行った。
b)湧水・河川水については、2000年6月、8月、12月の計3回行った(最大47地点)。
図2 榛名山の湧水・河川の電気伝導度分布
V 結果
本研究により、以下のことがわかった。
1.榛名湖の結氷期間と湖面開放期間の経年変化については、ある程度の周期性が見受けられるが、1996年と1999年は特異値を示しており、前年夏の降水量との関係が見うけられる。
2.榛名湖の水質は安定した周期性を示すが、pHの季節的・経年的な変化が著しい(7.0〜9.3)。
3.湧水・河川水の水質については、水温を除き、季節変化が小さい。ただし、地域差は明確で、北東〜南東斜面の電気伝導度が高く、南東斜面にはRpHの高い河川が分布している。
参考文献
山口香織(2001):榛名山の水文環境−榛名湖と周
辺湧水・河川の水質について−, 法政大学水文
地理学研究室ゼミ論.

