式1において、分子の総環境負荷量は、環境会計のエコバランス理論の流れを汲み、わが国の法体系に準拠して作成されたJEPIX(Environmental Policy Priorities Index for Japan: 環境政策的優先度指数日本版)のエコファクター(無名数の仮想単位)によって統合化して求めることとした。また、分母の純現在価値は、プロジェクト・ベネフィットから環境保全コストを含むプロジェクト・コストを差し引いて得られる純便益のキャッシュ・フローを、公共投資割引率で割り引いて求めることとした。
環境平和創造とは緊張関係にある国家間において実施される環境協力が、その国家間における環境問題を解決するにとどまらず、平和を進展させるという仮説である。ケン・コンカ(Ken
Conca)は、"Environmental Cooperation and International
Peace" (2001)において、国際関係論、特にネオリベラル制度論における各種仮説や理論をもとに、環境平和創造の理論構築を試みた。さらに、ジェフリー・ダベルコ(Geoffrey
D. Dabelko)との編著Environmental Peacemaking (2002)では、環境平和創造理論の事例研究として、バルト海、南アジア、アラル海、南アフリカ、カスピ海、米国・メキシコ国境の6地域における国際環境協力事例を取り上げ、環境平和創造理論の実証及び補強を試みた。その結果、環境平和創造が達成されるメカニズムとして、同時進行する2つの経路――「交渉環境(contractual
environment)の改善」(第1経路)と「ポスト・ウェストファリア体制のガバナンスの強化」(第2経路)――が明らかとなった。