内容 |
レポートの構成はなるべく以下のようにしてください。 (ただし、2年生は下記の「第3節」を除外)
第1節 テーマの紹介をする
・そのテーマのどこが面白いのか、それを分かりやすく説明する。
・その疑問に出くわした時の逸話があれば、それも書く。
・漠然とした疑問ではなく、具体的に絞り込んだ問題を。
(テーマを絞り込むためには、次の第2節の作業が重要!)
(疑問文の形で表現してみるといい。)
第2節 先行研究を調べ、批判的に検討し、問題点を整理する。
・ここで大切なことは次の2点です。
(1) これまでの研究で、何が明らかにされているのかを整理する。
(2) これまでの研究で、何がまだ明らかにされていないのかを整理する。
・(1)については、文献を丁寧に調べれば誰にでもできることです。
− 各論文の主張を簡潔にまとめる。
− 各論文を理解するために必要な理論や専門用語の説明も簡潔に入れる。
− ネット上に転がっている論文はハズレも多いので、なるべく書籍を調べる。
(ただし、論文中の参考文献は要チェック。自分で調べる手間が省ける。)
− 文献は、書籍・論文あわせて10本以上は調べる。
ただし、以下のような基本資料は、その中に含めない。
・ 専門用語は、言語学系の辞典類で調べる。
・ 特定の語彙を扱う場合は、「日本国語大辞典」や「広辞苑」などの辞書類も調べる。
・ 時事的なものが関係する場合は、新聞データベースなども調べる。
・問題は(2)です。各論文の論点・主張・データ・分析手法などを徹底的に比較し、
批判的に検討してください。これが見つからなければ、研究になりません!
特に以下の点について考えてみましょう。
A. 各論文の分析・主張に食い違い(矛盾)がないか
B. 各論文の分析・主張に誤りがないか
C. 各論文でまだ分析されていない問題はないか
D. 各論文で研究されているものと類似したもので、まだ研究されていない事例はないか
・上記A〜Dのような問題点が見つかれば、そのまま自分の研究になります。
・Bについては、古い文献ではなく、なるべく新しいものを調べてください。
(後から出た論文で、既に批判・訂正されている可能性があるから。)
・信頼性の低いネット論文より、なるべく書籍を調べてください。
第3節 自分の分析
・2節で批判した点について、深く考察する。(できれば代案を示す。)
・そのための根拠となるデータを、必要に応じて採取する。
・自分で採取したデータに基づいて、先行研究を批判し、自分なりの分析をしてみる。
・自分なりの分析を裏付けるために、必要に応じてさらにデータを集める。
第4節 まとめ
・自分が明らかにしたことを簡潔にまとめる。
・自分が明らかに出来なかったことを、「今後の課題」としてまとめる。
・「今後の課題」について、どう研究を進めるつもりなのかをまとめる。
参考文献一覧
・本文中で引用した文献(10本以上)をリストアップすること。
・書式は、卒論のテンプレを参照のこと。
参考辞書
参考サイト
参考資料
(必要に応じて、データなどを添付)
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体裁 |
卒論のテンプレート(こちら)を使うを便利です。
表紙をつけてください。 (目次は無くても構いません。)
本文末に丸括弧で総字数を記入する。 (例: (4312文字))
採取したデータがある場合は、それをまとめた表などを巻末に参考資料としてつける。
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分量 |
3年生: 本文8000字以上
2年生: 1本あたり、本文4000字以上 それを2本提出
(ただし、夏合宿で個人研究発表をした場合は1本免除します。) |
提
出 |
9月の初回のゼミで回収。(事前提出歓迎。研究室まで。) |
注
意
/
ア
ド
バ
イ
ス
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★テーマ選定と文献探しについて
詳しくは、こちらを参照してください。
★2年生の皆さんへ
まだ研究テーマが決まっていない2年生は、この夏の課題で、研究テーマを決めるところまで考えて下さい。ポライトネス理論を例にとるなら、次のようになります。段階(3)まで行くのが理想ですが、個人差もあるでしょうから、最低でも段階(2)まで到達していればOKとします。 (2年生の年度末レポート=春レポでは段階(4)の入り口まで行ってほしい!)
(1)
まずポライトネス理論がどんなものかきちんと調べる。これを知らなければ話になりません。原書や翻訳書を読んで、ポライトネス理論を理解するだけではなく、この理論についてどんな批判がされているのかも調べて下さい。そうすることで、この分野・理論の権威といわれる研究者にどんな人がいるのかも分かる。これは次の(2)で重要になります。
(2)
その理論を使って、どんな研究がなされているのかを調べる。つまり色々な論文を読んでください。そうすることで、実際に言語研究をする上で、どうやってこの理論が利用/援用/応用されているのかが分かります。例えば、依頼表現/断り表現/謝罪表現/呼称/敬語/若者ことば/異文化コミュニケーションなど、様々な研究に利用されていることが分かるはずです。 (同時に、研究のやり方も分かります。ただし、悪い論文を読んでしまうと、悪い研究方法を学習してしまうことになるので注意が必要です。そうならないためには、(1)でも書いたように、この分野・理論の権威と思われる研究者の書籍や論文をお手本にするとよいでしょう。)
(3)
以上の段階が「森を見る」ものだとすれば、ここからの段階は「木を見る」段階です。(2)で様々な研究事例を見たことで、いくつか疑問が湧いてきませんでしたか? 例えば依頼表現について研究していたA論文を読んで、「納得いかない」「間違っているのではないか」と疑問思ったことはありませんでしたか? もしくは、若者ことばと言われる「ってゆうか〜」や「みたいな〜。」について研究していたB論文を読んで、他の若者ことばである「X」についても同じことが言えるのではないか?と思ったことはありませんでしたか? 大げさにいえば、それは仮説と言ってよいものです。そういう点が見つかれば、その依頼表現や「X」という表現について、他に研究している文献が無いか調べてみましょう。それで自分の疑問が解決しなかったり、自分の仮説と全く同じことを既に主張している論文が無ければ、自分の研究テーマにしちゃいましょう! そうやって自分の研究テーマを絞り込んでいくのがこの段階です。
(4)
自分の研究テーマが決まったら、もっと幅広く文献を探して、知識を深めていきましょう。そして気になったことがあれば、アンケートをするなり、コーパスでデータを採取するなりしてみましょう。そうやって試行錯誤を繰り返しながら、自分の主張を固めていけば、いずれ論文の形も見えてくるはずですが、こういう作業は2年生の最後、3月の春レポート!で書いてもらいます。
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